今回は、法令不適合建物を賃貸してのトラブルをご紹介します。

この度の事案は保育施設を開業できる物件をさがしていた方に対し、不動産業者が立地の良い建物を紹介したことからはじまりました。

借主様は、その建物を気に入り入居、保育施設の認可を受けようと自治体に申請をしたところ当該建物が完了検査を受けていないことが判明し、認可保育園として開業ができませんでした。

本件の管轄自治体では、検査済証のない建物では認可保育園としての認可を降ろすことができないため、結果、借主様は不動産業者に説明なく検査済証のない建物を紹介したとして、契約時の礼金・敷金・その他家賃等合計約200万円の損害賠償請求をしたという事案です。

借主様は、保育施設の開業にあたり検査済証が発行されている建物である必要があると認識しており、そのことは不動産業者も分かっているだろうと思いこみ告げませんでした。一方、不動産業者は保育施設を希望する方の仲介は初めてであり、そのことは知らなかったようです。

近年は、多数の人が利用する施設に対し行政の監視が厳しくなる傾向にありますので、「認可」「許可」がつく申請にはより気を付けていく必要が感じられます。

不動産業者は何もかも知っているわけではないですが、いままで扱ったことのない案件であればあるほど、慎重にそして確認も多岐にわたり行うという心構えが求められますね